電気系エンジニアとは?仕事内容・具体的な職業・キャリアパスを徹底解説

記事のまとめ
  • 電気系エンジニアとは、ロケットや人工衛星に必要な電力を生み出し、全身にエネルギーを行き渡らせる「血液と神経」を司る専門家です。
  • 主な業務は、電気システム全体をまとめる「システム」、発電・蓄電を担う「電源」、各機器の頭脳を作る「回路設計」の3つに大きく分かれます。
  • 電気系エンジニアに向いている人は、
    • 電子工作が好き
    • 目に見えない「電気」の流れをイメージできる
    • 緻密な計算と検証を楽しめるタイプ
目次
電気系エンジニアとは、宇宙というコンセントのない場所で、自ら発電し、エネルギーを管理・配分する「電力インフラ」を作り上げる技術者の総称です。 どんなに凄いセンサーやエンジンを積んでいても、電気がなければ宇宙機はただの金属の箱です。 太陽光パネルで発電した貴重な電力を、1ミリワットも無駄にせず各機器へ送り届ける。そして、宇宙空間を飛び交う放射線による誤作動(ノイズ)からシステムを守る。「ミッションの生命線を握る」という、極めて責任とやりがいのある仕事です。

具体的な職業

内閣府の宇宙スキル標準(SSS)の定義を参考に、現場で求められる役割を大きく2つに分類しました。以下のリストから、あなたの適性に合う職種を選んでください。

A.電気系システムエンジニア

「どの機器に、いつ、どれくらい電気を送るか」という電力配分のルールを決める司令塔。 限られたバッテリー容量の中で、ミッションを最大限に行えるよう「電力収支(家計簿のようなもの)」を計算し、電線を這わせるルート(ハーネス設計)を全体のバランスを見ながら決定します。
\ こんな人にピッタリ/
  • 全体を俯瞰して論理的に考えるのが好き
  • パズルのように複雑な条件を整理し、最適解を見つけるのが得意な人。

B.電源設計エンジニア


システムエンジニアが決めた仕様をもとに、具体的な「電子回路基板」や「電源ユニット」を作り込む職人。 電圧を変換する装置(コンバータ)や、バッテリーの充放電を管理する回路を設計し、「放射線で壊れないか」「熱で燃えないか」を検証して、実際にモノを完成させます。
\ こんな人にピッタリ/
  • エネルギー効率やパワーエレクトロニクスに興味がある
  • バッテリーや発電機など、パワフルな「心臓部」を作るのが好きな人。

C.電気/電子系設計エンジニア

観測センサ、通信機、制御コンピュータなど、搭載される各機器の中身(電子回路)を作り込む職人。 FPGAやCPUを搭載したデジタル回路や、センサ信号を処理するアナログ回路を設計します。「放射線でデータが壊れないか」「熱で部品が溶けないか」を検証し、過酷な環境で動く精密機器を完成させます。
\ こんな人にピッタリ/
  • ハンダごてを握ったり、回路図を書くのが好き
  • マイコン制御やFPGAなど、ハードウェアとソフトの境界領域に興味がある人。

共通するやりがい・年収

やりがい

最大の魅力は、「宇宙で眠っていた衛星が目覚める瞬間」に立ち会えることです。 ロケットから切り離され、初めて電源が入った瞬間の信号(産声)を地上で受信したとき、電気系エンジニアの苦労はすべて報われます。 また、近年のEV(電気自動車)ブームと同様、宇宙でも「電力の効率化」は最重要課題です。あなたの設計した高効率な回路が、衛星の寿命を数年伸ばすことにも直結する、インパクトの大きな仕事です。

年収

  • アナログ回路、デジタル回路、パワーエレクトロニクス(電力制御)のスキルは、地上の自動車・家電・半導体業界でも争奪戦になっているため、市場価値は極めて高い水準にあります。

※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。

未経験から目指すには

電気系エンジニアは、電機メーカー、自動車部品(ワイヤーハーネス・ECU)、半導体関連などの経験者が即戦力として活躍しています。未経験からでも、正しい順序で学ぶことで道は開けます。

未経験から目指すには(キャリアパス)

STEP
学習・準備
  • 宇宙には「放射線」という厄介な敵がいます。 地上の部品をそのまま使うとすぐに壊れてしまうため、まずは「電気の基礎」と「回路を守る知識」を知っておく必要があります。
  • アクション:
    • 「電気の基礎」を体感する 本を読むだけでなく、実際に手を動かしましょう。「Arduino(アルドゥイーノ)」や「Raspberry Pi」などの初心者向けキットを買い、LEDを光らせたりモーターを回したりして、電気制御の感覚を掴みます。
    • 「回路図を書く」練習をする プロも使う基板設計ソフト「KiCad(キキャド)」などは無料で使えます。簡単な回路図を引いてみるほか、「デジタル技術検定」や「E検定(電気・電子系技術者検定)」のテキストを読み、用語に慣れておきましょう。
STEP
現場習得
  • まずは家電、産業機器、自動車関連のメーカーで、電子回路の評価・試験補助や、配線設計(ハーネス)の業務に参加します。
  • ポイント: 「ノイズで誤作動した」「熱で部品が壊れた」といったトラブル対応の経験は、過酷な環境である宇宙開発で最も重宝されるスキルです。
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リーダー・独り立ち
  • 特定のコンポーネント(例:電源ユニット、通信基板など)の設計担当として、回路設計から基板の発注、実装、評価試験までを一通り任されます。 ここで「限られたスペースに部品を収める」「消費電力を極限まで下げる」といった、制約の中での設計力を磨きます。
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GOAL
  • 実績が認められ、衛星全体の電気システムを統括する「電気系システムエンジニア」や、高度な電源開発をリードする「シニアエンジニア」として活躍します。 他業界(EV開発や通信インフラなど)での実務経験がある方は、STEP2〜3をスキップし、最初から設計の要として採用されるケースも増えています。
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