飛行安全エンジニアとは?仕事内容・必要なスキル・キャリアパスを解説!

ロケット打ち上げ後の飛行状態をリアルタイムで監視し、飛行安全に関する判断と対応を行う職種です。射場運営や打ち上げオペレーションの経験を積みながら、打ち上げ責任者やプロジェクトマネージャへとキャリアを広げていきます。
※推定年収は、関連職種の公的統計および宇宙業界の直近の求人市場データに基づく推計値です。経験やスキル等により実際の金額は異なります。
記事のまとめ
  • 飛行安全エンジニアとは ロケットの飛行状態を監視し、安全に関する判断を行う職種です。
  • 飛行安全エンジニアに求められるスキルは、飛行安全管理と射場管制です。
  • 飛行安全エンジニアの平均年収は650万円
目次
飛行安全エンジニアの主な仕事は、「ロケットの打ち上げにおいて、飛行中のロケットの位置や速度をリアルタイムで監視し、飛行経路に安全上の問題がないかを判断して、万が一の場合には必要な措置を講じること」です。
ここでは、飛行安全エンジニアの仕事内容や、飛行安全エンジニアの役割について解説していきます。
飛行安全エンジニアは、ロケットの打ち上げ時に飛行状態をリアルタイムで監視し、安全に関する判断を行う仕事です。
打ち上げ前には、当日の気象条件をもとに飛行経路を最終確認し、安全上の問題がないかを検証します。打ち上げ後は、レーダーやテレメータ(動作データを地上に伝える仕組み)でロケットの位置と速度を追跡し、異常が発生した場合には必要な指令を送ります。

飛行安全エンジニアは、ロケットの打ち上げにおける「最後の安全判断者」として、人命と地域の安全を守る欠かせない存在です。
たとえば、ロケットの飛行経路がずれた場合、地上の人々や建物に危険が及ぶ可能性があります。飛行安全エンジニアの判断と対応がなければ、安全なロケット打ち上げは実現できません。

宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務を紹介します。
射場・地上システムの整備
ロケットの打ち上げに使用する射場(発射場)や地上システムの設計・構築を行う業務です。たとえば、燃料の貯蔵設備、燃焼試験設備、制御盤設備といった各種インフラ設備の設計を担当します。飛行安全エンジニアの視点から、安全監視に必要な設備仕様の策定にも関わります。
射場運営
射場設備の管理・運用を行い、打ち上げに向けた現場体制を維持する業務です。たとえば、射場設備の日常的な管理や、ロケットや人工衛星の射場への運搬作業を担当します。安全管理の観点から、高圧ガスや危険物、火薬類を扱う設備の運用ルールの遵守も監督します。
打上げ調整
ロケットの打ち上げに向けて、安全対策の検討・実行と関係各所への調整を行う業務です。たとえば、飛行経路周辺の船舶や航空機への通知、地域住民への周知、気象条件の確認などを実施します。飛行安全の観点から、打ち上げ可否の判断に必要な情報を収集・整理します。
打上げオペレーション(エンジニアリング)
ロケットの最終点検から打ち上げ、飛行中の監視までを行う業務です。たとえば、打ち上げ直前の機体の最終確認や燃料の充填を行い、打ち上げ後はロケットの機能・性能をリアルタイムで監視します。飛行安全エンジニアは、飛行データをもとに安全判断を行い、異常時には指令送信などの措置を講じます。
前職でこんな仕事をしていた方におすすめ!
  • 航空業界/防衛産業などで飛行安全管理や航空管制に携わっていた人
  • 気象庁/気象会社などで気象予測・観測データ分析をしていた人
  • プラント/化学工場などで高圧ガスや危険物の安全管理をしていた人
飛行安全エンジニアの仕事には、他では味わえない大きな魅力・やりがいがあります

この仕事の一番の魅力は、ロケットの打ち上げという宇宙開発の最も緊張感ある瞬間に、安全を守る最前線に立てることです。
打ち上げ当日には、気象データの分析からリアルタイムの飛行監視まで、自分の判断が打ち上げの成否に直結します。たとえば、管制室でロケットの飛行データを見守り、安全を確認してミッション成功を迎える瞬間は格別です。宇宙開発の「最前線」で責任ある役割を担う、スケールの大きな仕事といえるでしょう。

この仕事のやりがいは、自分の安全判断によってロケットの打ち上げが成功し、衛星が宇宙に届けられることです。
GPS衛星も気象衛星も、安全な打ち上げがあってこそ宇宙で活躍できます。「自分が安全を確認したロケットが無事に飛び、衛星が正しい軌道に投入された」——そう実感できることが、この仕事ならではの大きなやりがいです。
宇宙スキル標準を参考に、この職種が担うスキルを紹介します。
求められるスキルをまとめると、 「ロケットの飛行安全管理・射場管制・気象予測を中心とした『打ち上げオペレーション系』のスキル」が多く求められます
軌道設計・解析
宇宙機が効率的に目標軌道に到達するための軌道計算を行うスキル

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航法設計・解析
宇宙機の現在位置を正確に把握するための航法アルゴリズムを設計するスキル

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射場管制
打ち上げ時にレーダーやテレメータを使い、ロケットを追跡・管制するスキル

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射場安全管理
射場の安全管理を行い、高圧ガスや火薬類の取り扱いを適切に監督するスキル

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飛行安全管理
ロケットの飛行経路の安全を確認し、有事を想定したシミュレーションを行うスキル

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気象予測・判断
打ち上げ可否の判断に必要な気象データを収集・分析し、天気を予測するスキル

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転職に有利な「地上の資格・経験」 一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。
飛行安全エンジニアに役立つ資格

  • 技術士(機械、航空・宇宙)
  • 気象予報士
  • 高圧ガス製造保安責任者
  • 火薬類取扱保安責任者
  • 危険物取扱者(甲種)
  • 航空無線通信士
  • 安全管理者選任時研修修了
  • 防災士
  • MATLAB認定資格
  • リスクマネジメント関連資格(RIMS-CRMP等)
飛行安全エンジニアの年収は、携わるプロジェクトの規模や種類によって変動します。政府主導の大規模プロジェクト(官需)と民間の商業プロジェクト(民需)では予算規模が異なり、年収水準にも差が出る傾向があります。打ち上げ回数の増加に伴い、飛行安全の専門人材の需要は高まっており、経験豊富なエンジニアほど市場価値が高くなります。経験を積んで打ち上げ責任者やPMへステップアップすることで年収はさらに上がっていきます。
STEP
現場で基礎を身につける
先輩エンジニアのもとで、打ち上げ時のデータ記録や気象データの整理を担当します。射場設備の基本構造と安全管理ルール、飛行データの読み方を実務を通じて学んでいきます。
STEP
主担当として独り立ちする
飛行安全管理の特定領域(たとえば気象予測や飛行経路の安全確認など)を自力で担当できるようになります。打ち上げ前の安全確認から打ち上げ時のリアルタイム監視まで一連の業務を主導します。
STEP
専門リーダーとしてチームを率いる
飛行安全チーム全体を統括し、複数のエンジニアを指導するポジションに就きます。航空業界でいえば「管制官からチーフコントローラーへ」の昇格に近い変化です。打ち上げ当日の最終安全判断を担い、Go/No-Goの意思決定に責任を持ちます。
STEP
組織・プロジェクト全体を統括する
飛行安全にとどまらず、打ち上げプロジェクト全体を見渡すポジションに就きます。宇宙スキル標準における「プロジェクトマネージャ(PM)」として、射場運営・打ち上げオペレーション・飛行安全を含むプロジェクト全体の計画策定と統括を担います。

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宇宙業界の飛行安全エンジニアに最も必要なのは、「リアルタイムのデータをもとに冷静に安全判断を下す決断力」です。
理系出身に限らず、安全管理やリスク評価に携わった経験がある方であれば活躍の可能性があります。「航空管制や飛行安全管理の経験」や「気象予測やプラント安全管理の実務経験」は、宇宙業界でもそのまま強みになります。まずはロケットの打ち上げがどのような安全管理体制のもとで行われているのかを調べることから始めてみましょう。
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