通信系エンジニアとは?仕事内容・具体的な職業・キャリアパスを徹底解説
記事のまとめ
- 通信系エンジニアとは、はるか彼方の宇宙にあるロケットや人工衛星と、地上の管制室をつなぐ「声と耳」を作る専門家です。
- 主な業務は、通信プラン全体を設計する「システムエンジニア」と、アンテナや無線機を作り込む「無線通信設計エンジニア」の2つに大きく分かれます。
- 通信系エンジニアに向いている人は、
- スマホやWi-Fiの仕組みに興味がある
- 目に見えない「電波」をイメージできる
- 人と人(や機械)をつなぐのが好きなタイプ
目次
通信系エンジニアとは?
通信系エンジニアとは、何百キロ、時には何億キロも離れた宇宙空間にある機体と、地球との間の「ホットライン(無線通信)」を構築する技術者の総称です。 どんなに素晴らしいデータを観測しても、それを地上に送る「通信」が途絶えてしまえば、ミッションは失敗に終わります。また、地上からの指令(コマンド)が届かなければ、機体を操作することもできません。 ノイズだらけの宇宙空間で、限られた電力を使い、確実なデータを送り届ける。「見えない糸で宇宙と地球を結ぶ」という、ロマンと責任のある仕事です。
具体的な職業
内閣府の宇宙スキル標準(SSS)の定義を参考に、現場で求められる役割を大きく2つに分類しました。以下のリストから、あなたの適性に合う職種を選んでください。
A.通信系システムエンジニア
「どんな電波(周波数)を使って、どれくらいの速度で通信するか」という通信計画の全体像を描く司令塔。 宇宙と地上の距離や天候による影響を計算し、確実に通信がつながるように「回線設計(リンクバジェット)」を行います。また、国際的なルールに基づいた周波数の調整も重要な役割です。
\ こんな人にピッタリ/
- 見えないものを論理的に計算するのが好き
- 全体を見渡して、最適な通信環境をコーディネートしたい人。
B.無線通信設計エンジニア
システムが決めた計画をもとに、具体的な「アンテナ」や「無線機(トランスポンダ)」を作り込む職人。 「どうすれば遠くまで電波が届くか」「どうすればノイズに勝てるか」を考え、高周波回路やアンテナ形状を設計します。実際に電波暗室(電波を遮断した部屋)で試験を行い、機器を完成させます。
\ こんな人にピッタリ/
- アマチュア無線やラジオ工作に興味がある
- 実験を通じて、性能をギリギリまで引き出すのが好きな人。
共通するやりがい・年収
やりがい
最大の魅力は、「宇宙からの第一声」を聞く瞬間の感動です。 打ち上げ後、自分の作った通信機を通じて、衛星からの最初の信号(ビーコン)が地上のモニターに表示されたとき、管制室は歓声に包まれます。「つながった!」という事実は、機体が生きている何よりの証拠です。 また、月や火星など、光の速さでも数分~数十分かかるような深宇宙探査においては、あなたの技術が人類と未踏の地をつなぐ唯一の架け橋となります。
年収
- 5G/6G通信やIoTの普及により、無線技術(RF回路設計、FPGAなど)を持つエンジニアは地上でも引く手あまたです。そのため、宇宙業界でも希少な人材として高く評価される傾向にあります。
※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。
未経験から目指すには
通信系エンジニアは、通信機器メーカー、携帯キャリアのインフラ担当、電機メーカーなどの経験者が即戦力として活躍しています。未経験からでも、基礎を知ることからスタートできます。
未経験から目指すには(キャリアパス)
STEP
学習・準備
- 宇宙通信は「つながなくなったら終わり(修理不可)」という厳しい世界です。 そのため、まずは「電波のルール」と「無線がつながる仕組み」を知っておく必要があります。
- アクション:
- 「電波のルール」を知る いきなり難しい専門書を読む必要はありません。国家資格である「陸上特殊無線技士(第一級・第二級)」のテキストをパラパラと見てみましょう。「周波数とは何か」「どうやって電波は飛ぶのか」という基礎知識の地図が手に入ります。
- 「見えない電波」をイメージする 身近なWi-FiやBluetoothがどうやって通信しているのか、解説動画などで学びます。「変調(情報を波に乗せる)」や「アンテナの役割」をイメージできるようになることが第一歩です。
STEP
仕事にする
- まずは通信インフラ会社、無線機器メーカー、電子部品メーカーなどで、無線設備の保守・点検や、高周波回路の測定補助といった業務に参加します。 ポイント: 「電波がつながらない原因を探す」「スペクトラムアナライザ(波形を見る機械)を触る」といった実務経験は、宇宙業界でもそのまま活かせる強力な武器になります。
STEP
信頼される
- 特定の無線機(送受信機)やアンテナの設計担当として、詳細設計から試作、電波試験までを任されます。 ここで「ノイズをどう減らすか」「熱で周波数がズレないか」といった、技術的な課題を解決する力を磨きます。
STEP
全体を統括する
- 実績が認められ、通信システム全体を統括する「通信系システムエンジニア」や、高度な無線技術をリードする「シニアエンジニア」として活躍します。 他業界(スマホ開発や航空無線など)での経験が豊富な方は、STEP2〜3を短期間で通過し、通信系の責任者として抜擢されるケースも多くあります。
