データ処理系エンジニアとは?仕事内容・具体的な職業・キャリアパスを徹底解説

記事のまとめ
  • データ処理系エンジニアとは、宇宙機全体の頭脳となる「オンボードコンピュータ(OBC)」を開発し、情報の交通整理を行う専門家です。
  • 主な業務は、データ処理の流れ全体を設計する「システムエンジニア」と、宇宙で動くコンピュータ基板そのものを作る「組み込みハードウェアエンジニア」の2つに大きく分かれます。
  • データ処理系エンジニアに向いている人は
    • PC自作や電子工作が好き
    • 論理的に物事を組み立てるのが得意
    • 「信頼性」にとことんこだわれるタイプ
目次
データ処理系エンジニアとは、ロケットや人工衛星における「脳」と「神経」を作り上げる技術者の総称です。 宇宙機は、地上からの指令(コマンド)を受け取って動き、観測した大切なデータ(テレメトリ)を地上へ送り返さなければなりません。この膨大な情報のやり取りを制御するのがデータ処理系です。 もしこの機能が停止すると、衛星は地上からの声が聞こえず、自分の状態も伝えられない「ただの漂流物」になってしまいます。放射線が飛び交う過酷な宇宙環境で、「絶対にフリーズしないコンピュータ」を構築する、極めて重要で奥深い仕事です。

具体的な職業

内閣府の宇宙スキル標準(SSS)の定義を参考に、現場で求められる役割を大きく2つに分類しました。以下のリストから、あなたの適性に合う職種を選んでください。

A.データ処理系システムエンジニア

「どのようなデータを、どのくらいの速度で処理するか」という情報の流れ(アーキテクチャ)を描く司令塔。 搭載するカメラやセンサーのデータ量計算し、「どのCPUを使うか」「メモリ容量はどうするか」「エラーが起きたらどう復旧させるか」といったシステム全体の仕様を決定します。
\ こんな人にピッタリ/
  • コンピュータの仕組み(アーキテクチャ)が好き
  • ハードウェアとソフトウェアの境界線で、全体の最適化を考えたい人。

B.組み込みハードウェアエンジニア

システムが決めた仕様をもとに、宇宙で動く「コンピュータ基板」そのものを作り込む職人。 FPGA(書き換え可能な集積回路)やCPUを選定し、放射線による誤作動を防ぐための回路設計や、高速なデータ通信を行うための基板設計を行います。
\ こんな人にピッタリ/
  • FPGAやマイコンを使ったモノづくりに興味がある
  • デジタル回路のタイミングチャートを追いかけたり、ノイズ対策を考えるのが好きな人。

共通するやりがい・年収

やりがい

最大の魅力は、「自分の作ったコンピュータが宇宙で動き続ける」という信頼への誇りです。 地上のPCなら再起動すれば直るエラーも、宇宙では命取りになります。あなたの設計した冗長系(予備システム)やエラー訂正機能が働き、トラブルを自律的に乗り越えてミッションを継続できた時、エンジニアとしての技術力が証明されます。 また、探査機が送ってくる高精細な惑星の画像データなどは、あなたの作ったデータ処理回路を通って初めて人類の目に触れることになります。

年収

  • FPGA設計や組み込みシステムのスキルは、自動車(自動運転・ECU)、IoT機器、医療機器などあらゆる産業で需要が高く、市場価値はトップクラスです。

※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。

未経験から目指すには

データ処理系エンジニアは、電機メーカー、自動車部品(車載組込み)、通信機器メーカーなどの経験者が即戦力として活躍しています。未経験からでも、手を動かして学ぶことで道は開けます。

未経験から目指すには(キャリアパス)

STEP
学習・準備
  • 宇宙のコンピュータは「放射線でビットが反転する(0が1になる)」という異常事態と戦います。 そのため、一般的なPC知識に加え、「デジタル回路の基礎」と「信頼性設計」を知っておく必要があります。
  • アクション:
    • 「コンピュータの中身」を知る 「基本情報技術者」レベルの知識(2進数、論理回路)をおさらいしつつ、FPGAボード(初心者は安価なものから)を使って、ハードウェア記述言語(VerilogやVHDL)に触れてみます。
    • 「壊れない工夫」を学ぶ 宇宙特有の「シングルイベント(放射線による誤作動)」という言葉を調べてみましょう。「多数決論理(3つの計算結果のうち多い方を採用する)」など、宇宙ならではの賢い工夫を知ると、この仕事の面白さが見えてきます。
STEP
仕事にする
  • まずは自動車(ECU)、鉄道、産業機器、医療機器など、「高い信頼性が求められる組み込み機器」の開発現場に参加します。
  • ポイント: 「絶対に止まってはいけないシステム」の設計思想や、ノイズ対策の実務経験は、宇宙開発でもそのまま通用する最強の武器です。
STEP
信頼される
  • 特定のデータ処理ユニット(ミッション部やバス部)の設計担当として、詳細設計から基板製造、そして放射線試験までを任されます。 ここで「放射線試験でエラーが出た原因を突き止める」「限られた電力で高速処理を実現する」といった難題をクリアする経験を積みます。
STEP
全体を統括する
  • 実績が認められ、衛星全体のデータ処理系を統括する「データ処理系システムエンジニア」や、次世代の宇宙用コンピュータを開発する「リードエンジニア」として活躍します。 他業界(車載SoC開発や通信インフラなど)での経験が豊富な方は、STEP2〜3を短期間で通過し、プロジェクトの核となるポジションで採用されるケースも多くあります。
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