ソフトウェア系システムエンジニアとは?未経験から目指す仕事内容・年収・キャリアパス
記事のまとめ
- ソフトウェア系システムエンジニアとは
- 鉄の塊である宇宙機に、思考と判断力を与える**「宇宙機の頭脳(知能)設計士」**です。
- ソフトウェア系システムエンジニアの主な業務は
- 宇宙機を安全かつ正確に動かすために、「どのような判断基準でプログラムを動かすか」という詳細なルール(仕様)を決めることです。
- ソフトウェア系システムエンジニアに向いている人は
- 複雑な物事を整理し、論理的な手順(アルゴリズム)に落とし込むのが得意な人
- パソコンの中身(ソフト)だけでなく、機械(ハード)が動く仕組みにも興味がある人
- 「もしもの時」を常に想定し、リスク回避の策を考えるのが好きな人
目次
ソフトウェア系システムエンジニアとは?
ロケットや人工衛星には、カメラを撮ったり、姿勢を直したりするための高度なプログラムが搭載されています。しかし、このプログラムはいきなりコードを書くわけではありません。「バッテリーが減ったら省エネモードにする」「地上から指令が来たら即座に反応する」といった動きのルール(機能要件)を決め、それをプログラマーが作れる形(仕様書)に翻訳するのがソフトウェア系システムエンジニアの仕事です。
地上のアプリ開発と違い、修理に行けない宇宙では「絶対に止まらない」「バグで暴走しない」信頼性が何より重要です。システム全体の責任者(アーキテクト)と連携し、ハードウェアの制約の中で最大限の機能を発揮させるための設計図を描く、上流工程のエンジニアです。
地上の仕事で例えると…
自動車の「自動ブレーキシステムの制御設計者」や、スマートフォンの「OS(基本ソフト)の仕様策定者」のような役割です。
ソフトウェア系システムエンジニアの具体的な業務内容
宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務の代表例を紹介します。
- [ソフトウェア系の設計]
- 宇宙機に搭載するソフトウェアが、「いつ」「何を」「どのように」処理するかを決める業務です。「Aという信号が来たらBという動作をする」といった状態遷移を設計したり、AIを使って画像を認識させる手順を決めたりして、具体的な仕様書を作成します。
- [ソフトウェア系の解析]
- 設計したソフトウェアのロジックに矛盾や欠陥がないかを検証する業務です。「もしセンサーが故障して変なデータが入ってきたらどうなるか」といった異常ケースも含めてシミュレーションを行い、プログラムが暴走しないことを数学的・論理的に確認します。
ソフトウェア系システムエンジニアの必要なスキルと推奨資格
求められるスキル
宇宙スキル標準では、この職種において専門的な知識からヒューマンスキルまで、多岐にわたる能力が定義されています。 専門用語も多いため、以下のボタン(リンク)からそれぞれの詳しい解説ページを確認してみてください。
スキル一覧
このロールに求められるスキルを一言で表すと、 「ハードウェアの仕組みを理解した上で、最新のAI技術や数理モデルを駆使し、宇宙機を賢く安全に制御するためのプログラム構造を設計する力」 です。
転職に有利な「地上の資格・経験」
一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。
- 応用情報技術者試験
- ITエンジニアとしての基礎知識に加え、システム設計やプロジェクト管理の知識も問われるため、設計を担うSEとしての素養をアピールできます。
- ETEC(組込みソフトウェア技術者試験)
- 宇宙機のソフトは「組み込みシステム」です。クラス2(中級)などの資格があれば、ハードウェアとソフトの連携に関する知識証明になります。
- UMTP(UMLモデリング技能認定試験)
- 最近の宇宙開発では、図を使って設計する「モデルベース開発」が主流です。この資格があると、設計図を読み書きする即戦力として評価されます。
ソフトウェア系システムエンジニアのやりがい・年収
やりがい
ソフトウェア系システムエンジニアの仕事には、他では味わえない大きな3つの魅力があります。
- 命を吹き込む実感
- ただの金属の箱だった衛星が、あなたが設計したソフトウェアを入れることで目覚め、自律的に考え、動き出す瞬間は、まるで生命を吹き込んだような感動があります。
- 遠隔操作の究極形
- 何百キロ、何万キロも離れた宇宙にある機械を、地上から送るコード一つで意のままに操る。そのスケールの大きさと、技術的な面白さは格別です。
- 最先端技術の実装
- 通信に時間がかかる宇宙では、AIによる「自己判断」が重要になっています。宇宙というフィールドで、最先端のAIや機械学習技術を実戦投入できるチャンスがあります。
年収
ソフトウェア系システムエンジニアは、専門性が求められるため、宇宙業界の中でも高水準な傾向にあります。 特に、AI・機械学習の知識を持つエンジニアや、モデルベース開発(MBD)ができる人材は全産業的に不足しており、宇宙業界でも非常に高い待遇で迎えられることが多いです。
※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。
未経験からのキャリアパス
今はまだ宇宙に関する知識も資格もなくて大丈夫です。まずは目の前の経験を活かしながら、段階的にステップアップしていきましょう。
STEP
学習・準備
まずは「プログラミングと組み込みの基礎」に触れることから始めます。 C言語やPythonなどの言語を学びつつ、Arduinoなどのマイコンボードを使って「プログラムでLEDを光らせる」「モーターを回す」といった、モノを動かすソフト作りを体験します。
アクション:基本情報技術者試験の勉強をする、Raspberry Piで簡易ロボットを作ってみる、UdemyなどでAIの基礎講座を受ける。格もなくて大丈夫です。まずは目の前の経験を活かしながら、段階的にステップアップしていきましょう。
STEP
仕事にする
「完璧な知識」がなくても、ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を武器に飛び込みます。 自動車、家電、医療機器、産業用ロボットなどのメーカーで、「組み込みソフトウェアエンジニア」や「制御SE」として実務経験を積むことが、宇宙への王道ルートです。
アクション:メーカー系SIerや組み込みソフト開発会社の求人に応募する。「要件定義」や「基本設計」の工程に関われるポジションを目指す。
STEP
信頼される
現場で働きながら、必要な知識や資格を身につけていきます。 リアルタイムOS(RTOS)の知識や、Simulinkなどを使ったモデルベース開発の手法をマスターします。また、バグを未然に防ぐためのテスト技法や品質管理スキルも重要です。
アクション:ETECクラス2を取得する、開発プロジェクトでリーダー補佐として仕様策定に関わる。
STEP
全体を統括する
将来的には、ソフトウェア開発チーム全体のリーダーや、ハードウェアも含めたシステム全体を設計するアーキテクトを目指します。 「宇宙機の知能」を決める責任者として、ミッションの成功を左右する重要なポジションで活躍します。
アクション:プロジェクトマネージャー試験に挑戦する、ソフトウェア系サブシステムマネージャーを目指す。
ソフトウェア系システムエンジニアへの転職を成功させるには
宇宙業界のソフトウェア系システムエンジニアに最も必要なのは、「見えないソフトウェアの品質を、論理と執念で極限まで高める責任感」です。
理系・文系という枠にとらわれる必要はありません。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた「業務システム開発での要件定義経験」や「Webサービスの設計・運用経験」における論理的思考力は、そのまま宇宙ビジネスの現場で求められています。まずは自分の経験の棚卸しから始めてみましょう。
