組み込みソフトウェアエンジニア(ソフトウェア系エンジニア)とは?未経験から目指す仕事内容・年収・キャリアパス
記事のまとめ
- 組み込みソフトウェアエンジニアとは
- 金属の塊である宇宙機に、実際に動くための命令コードを書き込み、「機械に意識(魂)を宿らせるプログラマー」です。
- 組み込みソフトウェアエンジニアの主な業務は
- システムエンジニアが決めた仕様書に従って、プログラミング言語でコードを書き、バグがないか徹底的にテストすることです。
- 組み込みソフトウェアエンジニアに向いている人は
- モノ(機械)が自分の書いたプログラム通りに動くのが好きな人
- 1つのバグも見逃さない、粘り強さと几帳面さがある人
- 最新のAI技術などを、実際のハードウェアに組み込んでみたい人
目次
組み込みソフトウェアエンジニアとは?
「ソフトウェア系システムエンジニア」が「どのような機能を持たせるか」という設計図(仕様書)を作るのに対し、組み込みソフトウェアエンジニアは、その設計図をもとに、C言語やC++などのプログラミング言語を使って実際にソースコードを書く(実装・製造する)仕事です。
一般的なWebアプリやゲームの開発と違い、宇宙機のソフトウェアはメモリや処理速度に厳しい制限があります。また、一度打ち上げると修理ができないため、「絶対に止まらない」「間違えない」極めて高品質なコードが求められます。ハードウェア(回路)の仕組みも理解しながら、機械を直接コントロールするプログラムを作り上げます。
地上の仕事で例えると…
自動車のエンジンの燃料噴射を制御する「ECU(電子制御ユニット)開発者」や、お掃除ロボットの動きを作る「ロボット制御プログラマー」のような役割です。
組み込みソフトウェアエンジニアの具体的な業務内容
宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務の代表例を紹介します。
- [ソフトウェア系の設計]
- 「どのようなプログラム構成(クラスや関数)にすれば、効率よく機能を実現できるか」を詳細に決める業務です。システムエンジニアからの要求を、プログラミング可能なレベルまで落とし込み、データの持ち方や処理の流れを設計します。
- [ソフトウェア系の製造]
- 実際にキーボードを叩いてプログラミング(コーディング)を行う業務です。宇宙業界では主にC言語やC++、Pythonなどが使われます。単に動くだけでなく、メモリを無駄遣いしない、処理が速い、読みやすくてバグが少ないコードを書く技術が求められます。
- [ソフトウェア系の試験]
- 書き上げたプログラムが正しく動くかテストする業務です。パソコン上のシミュレーターで確認したり、実際に開発中の基板(ハードウェア)に書き込んで動かしてみたりして、あらゆるパターンの不具合(バグ)を洗い出し、修正します。
組み込みソフトウェアエンジニアの必要なスキルと推奨資格
求められるスキル
宇宙スキル標準では、この職種において専門的な知識からヒューマンスキルまで、多岐にわたる能力が定義されています。 専門用語も多いため、以下のボタン(リンク)からそれぞれの詳しい解説ページを確認してみてください。
スキル一覧
このロールに求められるスキルを一言で表すと、 「ハードウェアの制約を理解した上で、プログラミング技術を駆使し、機械を意のままに、かつ安全に動かすための高品質なコードを書き上げる力」 です。
転職に有利な「地上の資格・経験」
一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。
- ETEC(組込みソフトウェア技術者試験)
- クラス2(エントリーレベル)を取得することで、ハードウェアとソフトウェアの境界領域に関する基礎知識を証明でき、非常に有利になります。
- C言語プログラミング能力認定試験(2級以上)
- 宇宙機の制御系ソフトはC/C++で書かれることが多いため、言語仕様を正しく理解していることは必須のスキルです。
- 応用情報技術者試験
- アルゴリズム、システム構成、ネットワークなどの幅広いIT知識は、宇宙機の複雑なシステムを理解する助けになります。
組み込みソフトウェアエンジニアのやりがい・年収
やりがい
組み込みソフトウェアエンジニアの仕事には、他では味わえない大きな3つの魅力があります。
- コードが物理的に動く面白さ
- 画面の中だけで完結するソフトと違い、自分が書いたコードによってスラスタが噴射したり、アームが動いたりと、物理的な「モノ」が動くダイナミックな喜びがあります。
- 極限の品質追求
- 「バグ修正パッチを当てればいい」が通用しない宇宙の世界。一行のコードに魂を込め、完璧なロジックを追求する、エンジニアとしての職人魂が満たされます。
- AI×宇宙の最前線
- 最近では衛星が自分で画像を判断する「エッジAI」の搭載が進んでいます。最新のAIモデルを、限られたスペックの宇宙機コンピュータに実装するという高度な挑戦ができます。
年収
組み込みソフトウェアエンジニア(ソフトウェア系エンジニア)は、専門性が求められるため、宇宙業界の中でも高水準な傾向にあります。 IT業界全体でエンジニア不足ですが、特に「C言語が書けて、ハードウェアもわかる」人材は希少です。実務経験があれば、宇宙業界でも即戦力として好待遇で迎えられる可能性が高いです。
※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。
未経験から目指すには
今はまだ宇宙に関する知識も資格もなくて大丈夫です。まずは目の前の経験を活かしながら、段階的にステップアップしていきましょう。
STEP
学習・準備
まずは「C言語とマイコン制御」の基礎知識に触れることから始めます。 プログラミング言語(C/C++)の文法を学び、ArduinoやRaspberry Piを使って「センサーの値を読み取ってLEDの色を変える」といった電子工作プログラミングを体験します。
アクション:C言語の入門書を一冊やり切る、ETECクラス2の勉強を始める、マイコンボードを買って遊んでみる。
STEP
仕事にする
「完璧な知識」がなくても、ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を武器に飛び込みます。 自動車(ECU)、医療機器、デジタルカメラ、複合機などのメーカーで、「組み込みソフト開発」の実務経験を積むことが、宇宙への最短ルートです。
アクション:製造業の「制御ソフト開発」「ファームウェアエンジニア」の求人に応募する。Gitなどのバージョン管理ツールの使い方を覚える。
STEP
信頼される
現場で働きながら、必要な知識や資格を身につけていきます。 リアルタイムOS(RTOS)を使った並行処理のプログラミングや、ハードウェアの回路図を読みながらデバッグ(修正)するスキルを磨きます。宇宙特有の「放射線によるビット反転」へのソフト的な対策も学びます。
アクション:ETECクラス1を目指す、Linuxカーネルの仕組みを学ぶ、信頼性設計(フェイルセーフ)の実装経験を積む。
STEP
全体を統括する
将来的には、ソフトウェア開発チームのテックリード(技術責任者)や、AI搭載システムなどの高度な機能開発を牽引するスペシャリストを目指します。 「どんなハードでも動かせる」プロフェッショナルとして、プロジェクト内で頼られる存在になります。
アクション:ソフトウェアアーキテクチャの設計を任せてもらう、若手のコードレビューを行う。
組み込みソフトウェアエンジニアへの転職を成功させるには
宇宙業界の組み込みソフトウェアエンジニア(ソフトウェア系エンジニア)に最も必要なのは、「画面の中だけでなく、その先にあるハードウェアと環境を想像してコードを書く力」です。
理系・文系という枠にとらわれる必要はありません。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた「自動車業界での制御開発経験」や「IoT機器の開発経験」は、そのまま宇宙ビジネスの現場で求められています。まずは自分の経験の棚卸しから始めてみましょう。
