製造技術職とは?未経験から目指す仕事内容・年収・キャリアパス
記事のまとめ
- 製造技術職とは
- 「高度な職人技を駆使して、設計図という『紙の上の夢』を、実際に宇宙へ飛んでいく『本物の機体』に作り変える宇宙職人」 です。
- 製造技術職の主な業務は
- 「はんだごてやドライバー、3Dプリンターなどの工具・機械を操り、ミクロ単位の精度で部品を加工したり組み立てたりすること」 です。
- 製造技術職に向いている人は
- プラモデル作りや機械いじりが好きで、手先が器用な人
- 同じ作業でも妥協せず、コツコツと正確に積み重ねられる人
- 「自分の作ったものが宇宙に行く」というロマンに熱くなれる人
目次
製造技術職とは?
製造技術職の主な仕事は、「自分の手と技術を使って、ロケットや人工衛星の部品を一つひとつ丁寧に作り上げること」 です。 そのあとに、製造技術職の仕事内容や、製造技術職の役割について解説していきます。
仕事内容
金属を削って部品を作ったり、電子回路に小さなお米粒のような部品をはんだ付けしたり、無数の配線を束ねたりします。時には最新の3Dプリンターを使って複雑な形状のパーツを出力することもあります。何万点もの部品が集まる宇宙機において、その一つひとつに命を吹き込む精密な加工作業を行います。
役割
設計エンジニアが「どんな機能を持たせるか」を考えるのに対し、製造技術職は「どうやってそれを形にするか」を実現する実行部隊です。どんなに優れた設計でも、ネジ一本の締め方が緩ければ全てが台無しになります。過酷な宇宙環境でも壊れない「圧倒的な品質」を、その指先で担保する重要な役割を担っています。
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製造技術職の具体的な業務内容
宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務を紹介します。
- [組付け(インテグレーション)]
- バラバラの部品や装置を、設計図の手順通りに組み合わせてネジやリベットで固定し、一つの大きなシステム(ロケットや衛星)として完成させる業務です。
- [構造系の製造]
- ロケットの機体や衛星のボディとなる、軽くて丈夫な金属パネルやフレームなどを加工・製作する業務です。
- [推進系の製造]
- エンジンや燃料タンク、ガスを噴射するスラスタなど、宇宙機が動くために必要な心臓部となる部品を製造する業務です。
- [電気系の製造]
- 太陽電池パネルやバッテリー、配電盤など、電気を供給するための電源システム部分を作り込む業務です。
- [通信系の製造]
- 地上と交信するためのアンテナや通信機器など、非常に精密な調整が必要な無線パーツを製造する業務です。
- [熱制御系の製造]
- 宇宙の激しい温度変化から機器を守るため、特殊な断熱材を隙間なく貼り付けたり、ヒーターを取り付けたりする業務です。
- [制御系(姿勢・誘導)の製造]
- ロケットや衛星が正しい向きを保つためのセンサーや、回転して姿勢を変えるホイール装置などを組み立てる業務です。
- [データ処理系の製造]
- 宇宙機の頭脳となるコンピュータ基板などを、静電気で壊さないように細心の注意を払って組み立てる業務です。
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製造技術職に必要なスキルと推奨資格
宇宙スキル標準では、この職種において専門的な知識からヒューマンスキルまで、多岐にわたる能力が定義されています。 専門用語も多いため、以下のボタン(リンク)からそれぞれの詳しい解説ページを確認してみてください。
スキル一覧
このロールに求められるスキルをまとめると、 「工具を使った手作業や、専用機械の操作といった、モノづくりの基礎となる『製造・加工・組立系』の職人スキルが多く求められます」 です。 具体的なスキル項目は以下の通りです。
求められるスキル
求めるスキルの目安(レベルについて)
製造技術職に求められるスキルはそれぞれ5段階で分類され、あなたの現在の位置がわかるようになります。
誰もが最初はLv.1からのスタート。宇宙業界のルールを少し覚えるだけで、すぐにLv.3へ到達できます。 恐れずに、今のあなたの持ち技をチェックしてみてください。
転職に役立つ資格
一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。
国家資格
- 技能検定(電子機器組立て、機械加工、仕上げなど)
- 危険物取扱者(甲種・乙種)
- 有機溶剤作業主任者
- 電気工事士(第二種・第一種)
民間資格
- 品質管理検定(QC検定)
- マイクロソルダリング技術資格
- 3Dプリンター活用技術検定
- CAD利用技術者試験
製造技術職のやりがい・年収
やりがい
製造技術職の仕事には、他では味わえない大きな3つの魅力があります。
- 形に残るモノづくりの喜び
- 何もないところから、自分の手作業によって徐々に製品が出来上がっていくプロセスそのものに、純粋な楽しさと達成感があります。
- 世界最高峰の技術への挑戦
- 宇宙機は「世界で一番壊れてはいけない機械」の一つです。髪の毛一本分のズレも許されない究極の精度を追求することで、職人としての腕が磨かれます。
- 歴史的瞬間を支えるプライド
- 自分がネジを締めたロケットが空へ上がり、自分がはんだ付けした衛星が宇宙で活躍する。ニュースになるような大きなプロジェクトを、技術で支えている誇りを持てます。
年収
製造技術職は、専門性が求められるため、宇宙業界の中でも 安定的で、技能レベルに応じて手当がつく 傾向にあります。 最初は一般的な製造職と同等ですが、JAXA認定のはんだ付け資格を取得したり、高度な溶接技術を身につけて「マイスター(熟練工)」として認定されたりすると、技術手当によって年収がアップします。
※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。
製造技術職を未経験から目指すには(キャリアパス)
今はまだ宇宙に関する知識も資格もなくて大丈夫です。まずは目の前の経験を活かしながら、段階的にステップアップしていきましょう。
STEP
学習・準備
まずは「工具の正しい使い方」や「図面の読み方」といったモノづくりの基礎を固めることから始めます。
アクション:職業訓練校や工業高校レベルの教科書で機械加工や電子回路の基礎を学んだり、技能検定の3級などの取得を目指したりしてみましょう。
STEP
仕事にする
「完璧な知識」がなくても、ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を武器に飛び込みます。自動車部品工場、家電組立工場、精密機器メーカーなどでの製造経験は、そのまま宇宙業界で通用します。
アクション:宇宙機器の部品を作っている町工場や、大手メーカーの製造請負会社に応募し、現場で手を動かす経験(実務)を積みます。
STEP
信頼される
現場で働きながら、必要な知識や資格を身につけていきます。宇宙業界特有の「JAXA標準」などの厳しい品質基準をクリアできる技術を習得します。
アクション:実務の中で、より難易度の高い「マイクロソルダリング」や「TIG溶接」などの特殊技能を磨き、誰にも負けない得意分野を作ります。
STEP
全体を統括する
将来的には、若手を指導する「技術マイスター」や、現場を指揮する「製造リーダー」を目指します。
アクション:高度な技能を後輩に伝承したり、より効率的な作業手順を考案したりして、組織全体の技術力向上に貢献します。
製造技術職への転職を成功させるには
宇宙業界の製造技術職に最も必要なのは、「『まあいいか』を絶対に許さない、品質へのこだわり」 です。 理系・文系という枠にとらわれる必要はありません。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた「手先の器用さ」や「モノづくりへの情熱」、「精密な作業を集中して続けた経験」は、そのまま宇宙ビジネスの現場で求められています。まずは自分の経験の棚卸しから始めてみましょう。

