姿勢制御系設計エンジニアとは?仕事内容・必要なスキル・キャリアパスを解説!

記事のまとめ
  • 姿勢制御系設計エンジニアとは
    • 「無重力の宇宙空間で、ロケットや人工衛星が『どちらを向くか』『どう動くか』をコントロールし、ミッションを成功に導く『自動操縦システムの設計者』」 です。
  • 姿勢制御系設計エンジニアの主な業務は
    • 「機体の向きや位置を正しく保つためのプログラムや機器(センサーやエンジン)を選定・開発し、シミュレーションと試験を繰り返して精度を高めること」 です。
  • 姿勢制御系設計エンジニアに向いている人は
    • 「どう動けば効率的か」を数学や物理を使って考えるのが好きな人
    • シミュレーションゲームのように、条件を変えて試行錯誤するのが得意な人
    • 目に見えない「動き」や「力」をイメージして論理的に説明できる人
目次
姿勢制御系設計エンジニアの主な仕事は、「宇宙機が宇宙空間で迷子にならず、常に正しい方向を向き続けられるような仕組みを作ること」 です。
ここでは、姿勢制御系設計エンジニアの仕事内容や、姿勢制御系設計エンジニアの役割について解説していきます。
仕事内容
地上とは違い、空気抵抗のない宇宙では一度回転し始めると止まりません。
そこで、「今どちらを向いているか」を知るためのセンサーや、向きを変えるためのリアクションホイール(回転装置)やスラスタ(小型エンジン)を組み合わせ、コンピュータ制御で機体の姿勢を安定させるシステムを開発します。
役割
例えば、地球観測衛星が高性能なカメラを持っていても、カメラが地球の方を向いていなければ写真は撮れません。
また、通信アンテナが地球に向いていなければデータも送れません。どんなに優れた機能を持つ衛星でも、この「姿勢制御」がうまくいかなければただの鉄の塊になってしまうため、ミッションの成否を握る極めて重要な役割です。

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姿勢制御系設計エンジニアの具体的な業務内容

宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務を紹介します。
  • [制御系(姿勢・誘導)の設計]
    • 「どの星を目印にするか」「どのくらいの力で噴射すれば向きが変わるか」といった計算を行い、機体を思い通りに動かすためのルール(アルゴリズム)や使用する機器を決める業務です。
  • [制御系(姿勢・誘導)の解析]
    • 設計したルール通りに機体が動くか、コンピュータ上で何度もシミュレーション(模擬実験)を行い、計算ミスや想定外の動きがないかを徹底的にチェックする業務です。
  • [制御系(姿勢・誘導)の試験]
    • 実際に作った機器やプログラムを組み合わせ、振動や電磁波などの影響を受けても誤作動を起こさないか、地上でできる限りのテストを行って性能を確認する業務です。

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姿勢制御系設計エンジニアの必要なスキルと推奨資格

宇宙スキル標準では、この職種において専門的な知識からヒューマンスキルまで、多岐にわたる能力が定義されています。 専門用語も多いため、以下のボタン(リンク)からそれぞれの詳しい解説ページを確認してみてください。

スキル一覧

このロールに求められるスキルをまとめると、 「数学や物理の法則を使ってモノの動きを計算し、それをシミュレーションソフトやプログラムで再現する『制御理論・解析系』のスキルが多く求められます」 具体的なスキル項目は以下の通りです。

求められるスキル

求めるスキルの目安(レベルについて)

姿勢制御系設計エンジニアに求められるスキルはそれぞれ5段階で分類され、あなたの現在の位置がわかるようになります。
誰もが最初はLv.1からのスタート。宇宙業界のルールを少し覚えるだけで、すぐにLv.3へ到達できます。 恐れずに、今のあなたの持ち技をチェックしてみてください。

転職に役立つ資格

転職に有利な「地上の資格・経験」 一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。

国家資格

  • 基本情報技術者
  • 応用情報技術者
  • エンベデッドシステムスペシャリスト
  • 技術士(機械部門、航空・宇宙部門など)

民間資格

  • E検定(電気・電子系技術者検定)
  • Python 3 エンジニア認定基礎試験
  • 統計検定(データ解析力の証明)
  • TOEIC(英語の技術論文を読むため)

姿勢制御系設計エンジニアのやりがい・年収

やりがい

姿勢制御系設計エンジニアの仕事には、他では味わえない大きな3つの魅力があります。
  • 物理法則を操る面白さ
    • 重力や遠心力といった目に見えない力を計算で飼い慣らし、巨大なロケットや繊細な衛星を自分のプログラム通りにピタリと動かす快感は、この仕事ならではの醍醐味です。
  • ミッション成功の立役者
    • 小惑星への着陸や、数センチ単位のドッキングなど、高度なミッションは姿勢制御の精度にかかっています。「あの制御のおかげで成功した」と言われる達成感があります。
  • シミュレーションと現実の一致
    • 何千回と繰り返したシミュレーションの結果と、実際に宇宙に行った機体の動きが一致した瞬間、技術者としての自信と喜びが込み上げてきます。

年収

姿勢制御系設計エンジニアは、専門性が求められるため、宇宙業界の中でも 高水準 にある傾向にあります。 高度な数学的知識とプログラミング能力の両方が必要とされるため、市場価値が高く、特に「モデルベース開発」などの最新手法を使えるエンジニアは好待遇で迎えられます。

※現在の「宇宙スキル標準」において具体的な年収額は公表されていません。詳細な待遇や業務内容は、「宇宙スキル標準」の公表次第、随時追加していきます。

姿勢制御系設計エンジニアを未経験から目指すには(キャリアパス)

今はまだ宇宙に関する知識も資格もなくて大丈夫です。まずは目の前の経験を活かしながら、段階的にステップアップしていきましょう。
STEP
学習・準備
まずは「モノが動く仕組み(力学)」や「制御工学」の基礎知識に触れることから始めます。高校物理の復習や、プログラミング(PythonやMATLABなど)の基礎を学びます。

アクション: ドローンの自律飛行プログラミングに挑戦したり、ロボットコンテストの動画を見て制御の仕組みを研究したりしてみましょう。
STEP
仕事にする
「完璧な知識」がなくても、ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を武器に飛び込みます。自動車の自動運転開発、産業用ロボットの制御設計、ドローンの開発などの経験は、宇宙機の制御と非常に近いため高く評価されます。

アクション: 自動車メーカーや重工メーカーの「制御設計職」「組み込みエンジニア」として、PID制御などの基本的な制御ロジックを実務で使いこなせるようになりましょう。
STEP
信頼される
現場で働きながら、必要な知識や資格を身につけていきます。宇宙特有の「外乱(太陽風や大気抵抗など)」の影響や、センサーのノイズ処理といった専門的な技術を習得します。

アクション: 実務の中でシミュレーション精度の向上に取り組み、トラブルが起きた際にデータを解析して原因を突き止める解析力を磨きます。
STEP
全体を統括する
将来的には、姿勢制御システム全体の責任者や、ミッション全体の動きを設計するシステムエンジニアを目指します。

アクション: 複雑な衛星コンステレーション(多数の衛星の協調制御)や、月面着陸船などの高難度ミッションの制御リーダーとして活躍します。

姿勢制御系設計エンジニアへの転職を成功させるには

宇宙業界の姿勢制御系設計エンジニアに最も必要なのは、「計算結果を信じ抜く論理的思考と、想定外を想像する柔軟性」 です。
理系・文系という枠にとらわれる必要はありません。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた「ロボットや機械を動かした経験」や「データ分析・シミュレーションの経験」は、そのまま宇宙ビジネスの現場で求められています。まずは自分の経験の棚卸しから始めてみましょう。
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