製造技術職とは?仕事内容・必要なスキル・キャリアパスを解説!

ロケットや人工衛星の製造に必要な手作業(はんだ付け、配線、組立てなど)を担う技能職です。各種作業技能を習熟しながら、製造現場のリーダーやラインマネージャへとキャリアを広げていきます。
※推定年収は、関連職種の公的統計および宇宙業界の直近の求人市場データに基づく推計値です。経験やスキル等により実際の金額は異なります。
記事のまとめ
  • 製造技術職とは 宇宙機の部品製造や組立てを手作業で行う技能職です。
  • 製造技術職に求められるスキルは、はんだ付けやハーネス組付けなどの製造技能です。
  • 製造技術職の平均年収は450万円
目次
製造技術職の主な仕事は、「ロケットや人工衛星の部品を、はんだ付け・配線・接着・ネジ締め・塗装などの手作業で一つひとつ組み立てていくこと」です。ここでは、製造技術職の仕事内容や、製造技術職の役割について解説していきます。
製造技術職は、宇宙機の製造に必要なさまざまな手作業を担う仕事です。
はんだ付けで電子部品を基板に接合したり、電線をまとめたハーネス(配線束)を製作したりします。接着剤による部品の固定、特殊塗料を使った塗装、ネジの締め付けや固着処理など、多岐にわたる作業技能が求められます。いずれの作業も、宇宙という過酷な環境に耐えうる高い精度と品質が必要です。

製造技術職は、設計図を「実物の宇宙機」に変える最後の工程を担う欠かせない存在です。
たとえば、気象衛星の電子回路に一か所でもはんだ不良があれば、宇宙で正常に動作せず天気予報のデータが届かなくなります。製造技術職の高い技能がなければ、どれだけ優れた設計もロケットや衛星として形にすることはできません。

宇宙スキル標準を参考に、このロールが担う業務を紹介します。
構造系の製造
設計図に基づき、宇宙機の骨格となる構造部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、適切な材料と加工方法を選び、フレームやパネルなどの構造部品を製作します。リベットやネジによる機械的な結合、接着剤による固定作業を行います。
電気系の製造
宇宙機の電力供給に関わる部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、電源装置や配電系統の部品を製作し、はんだ付けやハーネス組付けを行います。電気工事を含む配線作業も担当します。

熱制御系の製造
宇宙機の温度管理に関わる部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、断熱材の加工・貼付けや放熱パネルの組付けを行います。塗装作業では、熱を反射・吸収するための特殊塗料を使用します。
データ処理系の製造
宇宙機に搭載するコンピュータや電子基板を製造・組付けする業務です。
たとえば、電子部品の基板へのはんだ付け、コネクタの圧着、カシメ作業を行います。静電気による部品の破損を防ぐための静電防止処置も重要な作業です。
組付け(インテグレーション)
各部分(サブシステム)を組み合わせて、宇宙機全体を一つの製品として完成させる業務です。
たとえば、構造体に電気系統や通信機器、制御装置などを順番に取り付け、配線の接続や動作確認を行います。すべての製造工程の集大成となる最終段階の作業です。
推進系の製造
ロケットエンジンや推進装置の部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、設計図に基づいて燃焼室やノズルなどの部品を加工し、組み立てます。高温・高圧に耐える精密な加工が求められます。

通信系の製造
宇宙機の通信機器に関わる部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、アンテナや送受信機の部品を設計図どおりに加工し、はんだ付けや配線で組み上げます。電波を扱う精密な部品には高い組付け精度が求められます。
制御系(姿勢・誘導)の製造
宇宙機の向きや飛行経路を制御する装置の部品を製造・組付けする業務です。
たとえば、センサーやモーターなどの精密部品を設計図どおりに加工し、配線・接続を行います。微小な誤差が宇宙機の動作に影響するため、極めて高い精度が求められます。
ソフトウェア系の製造
宇宙機のソフトウェアを動かすための電子基板やハードウェアの製造・組付けを行う業務です。たとえば、組み込みコンピュータの基板実装やケーブルの接続作業を担当します。ソフトウェアが正しく動作するための土台となるハードウェアを製作します。
前職でこんな仕事をしていた方におすすめ!
  • 電機メーカーなどで電子基板のはんだ付けや電子機器の組立てをしていた人
  • 自動車/航空機メーカーなどでハーネス製作や配線作業をしていた人
  • 製造業などで精密部品の組付けや品質検査を担当していた人
製造技術職の仕事には、他では味わえない大きな魅力・やりがいがあります

この仕事の一番の魅力は、自分の手で宇宙機を「形にする」モノづくりの最前線に立てることです。
はんだ付けや配線、ネジ締めなど、一つひとつの手作業が宇宙機の品質を左右します。たとえば、自分がはんだ付けした電子回路が宇宙空間で正常に動き続けるという経験は、他の仕事ではなかなかできません。「世界最高水準のモノづくり」を自分の手で実現できる仕事といえるでしょう。

この仕事のやりがいは、自分の手作業で組み上げた宇宙機が打ち上げられ、宇宙で活躍している姿を知ることです。
たとえば、自分が配線したGPS衛星が宇宙からスマホのナビを支え、自分が塗装した気象衛星が天気予報のデータを送り続けています。「自分が作った部品が、今この瞬間も宇宙で動いている」
そう実感できることが、この仕事ならではの大きなやりがいです。
宇宙スキル標準を参考に、この職種が担うスキルを紹介します。
求められるスキルをまとめると、 「はんだ付け・配線・組立てなど、宇宙機を手作業でつくり上げる『製造技能系』のスキル」が多く求められます
アッセンブリ
複数の部品やデバイスを組み合わせて、組立て完成品を製造するスキル

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はんだ付け
はんだを使って電子部品などの金属面を正確に接合するスキル

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ハーネス組付け
電線の切断・端子の圧着・コネクタの取り付けなどを行い、配線束を製作するスキル

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3Dプリンティング(金属)
金属3Dプリンターを使い、設計データから金属部品を直接製造するスキル

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接着作業
接着剤を使って部品を固定し、脱泡処理を含む適切な工程で作業を行うスキル

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塗装作業
宇宙機用の特殊塗料を使い、構造部材や機器に対して適切に塗装を行うスキル

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インサート処理作業
ネジ穴の補強やゆるみ止めのためのインサート処理を行うスキル

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リベット作業
リベットを使って構造部品の機械的な結合を行うスキル

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ネジ締め付け作業
過酷な環境条件を考慮し、緩みのないネジ締め付けを行うスキル

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ネジ固着作業
接着剤などを使ってネジを完全に固着させるスキル

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カシメ作業
電線やコネクタ端子を適切な手順で圧着・接合するスキル

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電子部品静電防止作業
静電気による電子部品の破損を防ぐための処置を行うスキル

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転職に有利な「地上の資格・経験」 一部はスキル標準でも参照されていますが、ここでは「標準外」のものも含め、未経験者が転職活動でアピールしやすい資格を参考として紹介します。
製造技術職に役立つ資格

  • 電気工事士
  • 電気主任技術者
  • 技能検定(電子機器組立て)
  • 技能検定(機械組立仕上げ)
  • 技能検定(塗装)
  • J-STD-001認証試験(はんだ付け品質)
  • IPC-A-610認証試験(電子組立て品質)
  • IPC/WHMA-A-620認証試験(ハーネス品質)
  • 3Dプリンター活用技術検定
  • 接着剤入門講座修了
製造技術職の年収は、習熟した技能の種類や対象機種によって変動します。はんだ付けやハーネス組付けなど複数の技能を高いレベルで保有する人材は評価が高まる傾向があります。政府の大型プロジェクト(官需)と民間の商業プロジェクト(民需)では予算規模が異なり、年収水準にも差が出ます。経験を積んで製造ラインマネージャや現場監督へステップアップすることで年収はさらに上がっていきます。
STEP
現場で基礎を身につける
先輩技能者のもとで、はんだ付けやネジ締めなどの基本的な製造技能を学びます。技能講習を受講しながら、宇宙機ならではの高い精度と品質基準を実務を通じて身につけていきます。
STEP
主担当として独り立ちする
特定の製造工程(たとえばはんだ付けやハーネス組付けなど)を自力で担当できるようになります。作業手順書に基づいて一人で作業を完遂し、品質基準を満たした製品を安定して製作します。
STEP
専門リーダーとしてチームを率いる
複数の製造工程を統括し、後輩の技能者を指導するポジションに就きます。自動車業界でいえば「組立工から班長・工長」への昇格に近い変化です。宇宙スキル標準の「製造ラインマネージャ・現場監督」として、チーム全体の作業品質と安全を管理します。
STEP
組織・プロジェクト全体を統括する
複数の製造工程を統括し、後輩の技能者を指導するポジションに就きます。自動車業界でいえば「組立工から班長・工長」への昇格に近い変化です。宇宙スキル標準の「製造ラインマネージャ・現場監督」として、チーム全体の作業品質と安全を管理します。

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宇宙業界の製造技術職に最も必要なのは、「ミリ単位の精度を追求する丁寧さと、高い品質を安定して維持し続ける集中力」です。
理系・文系を問わず、製造業での手作業や組立て経験がある方であれば活躍の可能性があります。「電子基板のはんだ付けや電子機器の組立て経験」や「配線・ハーネス製作の実務経験」は、宇宙業界でもそのまま強みになります。まずは宇宙機がどのような部品でできていて、どのように組み立てられるのかを調べることから始めてみましょう。
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